随筆 16

象はニンゲンから見れば象以外のなにものでもない。

豚はニンゲンから見れば豚である。

ニンゲンも、他の動物から見ればニンゲンなんだろう。

個人に期待することなんて、ちっぽけなことなんだろう。

ニンゲンだけが、生き物の中で崇高な立ち位置だなんて、ニンゲンが考えた楽観的な創作なんだろう。

うちのハムスターたちも性格は少しずつ異なるけど、行動パターンはほぼ同じだ。

時期がくれば交尾したがるし、オス同士は闘うし、雌はいい匂いがする。肉を好むのは雄で。

狼はやはり狼でしかないし、ニンゲンの差異もきっとものすごくちっぽけだ。

どれも大差ないはず。

遺伝で顔は微妙に違うし、弱い個体と強い個体はいるかもしれないけど、もしも、特異だと思われるニンゲンがいたら、既に彼らはニンゲンじゃないのかもしれないな。

私が求めていたのは、ニンゲンだったのだろうか。進化した別の動物だったのだろうか。

何を言いたいのかというと、人間同士の間で、このニンゲンとは合うとか、このニンゲンとは合わないとか……

ないんじゃないかなと。

好き嫌いそのものが無意味なんじゃないかなと。

極論をいえば

ニンゲンを好きなのか

嫌いなのか

そこなんじゃないかな。

そもそも、ニンゲンはさほど美しいものではないし、同種と争うような動物なのかもしれない。縄張り争いをして殺し合うのは、他の動物でも見られる光景で、ニンゲンもさほど変わりない。

となると、自分の大切な人だけ、特別なわけがなくて。多分誰に代えてももさほど変わりないってのが、答えなのかもしれないな。

いや、こんなこというと、誰かに怒られそうだけど(笑)

結局私達はみんな、そのちっぽけな差異に一喜一憂して、命を奪ったり、不倫したり、人を出し抜いたり、勝ち負けに必死になったりして、同族を悲しませる変な動物なんだろう。

なんだかなぁー。

人に悩むのってアホらしいなって、ふと思ってしまった。

大差ないのだから、夢見ないで目の前のニンゲンを悲しませずに生きていけたなら。上出来なんじゃない?って。自分に言い聞かせてみる夏の夜…、

 

やっぱり

真実は虚無

リアルはファンタジー

人々はファンタジーがお好きなようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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