随筆 26

都会の中に暮らしていても、そこから切り離されたような場所がある。

私が日本で一番好きなもの。

それは温泉。それも露天風呂。

旦那が休みの日は、二人で朝から温泉に出かける。だけど、街中で銭湯で育った私と、田舎で内風呂で育った旦那。温泉に対しても考え方がちょっと違う。

都会で湧いた天然温泉、人工的な岩風呂ではあるが、本物の樹も植えてまるで山の中のように設えてある。

雑音を消すためか、ヒーリングにはもってこいの音楽を邪魔にならないように静かに流している。

私は10代の頃から露天風呂のある銭湯を探して友達とウロウロしていた方で、高校生の頃は朝5時に起きて自転車で30分かけて毎日朝風呂に行ってた。

こともあろうか地元に天然温泉が見つかったのは、もうずーっと後になってから。

周り周って地元に戻ってきた私は、いまは、足しげくそこに通う。

旦那は「個人プレイなので一緒に行っても俺は面白くない」という。お風呂上がりに二人で帰るのが「いとをかし」なのにね。

今日も懐かしい地元の生活音を聴きながら、露天風呂にうつる空と樹木を眺めていた。

風に吹かれて想い巡らせるのは……

あの頃と周りの景色も、自分の姿も、共に生きる人々も、すっかり変わってしまったけれど、まだ此処にいる私は、案外それで幸せなんだなあってこと。

二人でそんな話しながら帰路についた夏の夕暮れ。

 

 

 

 

 

 

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