随筆 153

最近はまた米酵母を作っていて、それでパンを焼く。たくさんできるので時々堆肥にも混ぜる。乳酸菌のおかげなのだろう、少しすっぱい匂いがする。漬物に利用することも出来るそうだが、うちは毎日焼くパンのために使う。実は、母が亡くなって仏飯を毎朝お供えしているので、そのお下がりを発酵させて酵母にすることにした。私自身があまり米を食べないため、パンに活用できる酵母は重宝する。ヨーグルト酵母で焼いたふわふわのパンも好評で定番にしていたのだが、米酵母は甘みとモチモチ感が加わり、負けず劣らず美味しい。

継続することで視えてくることがある。数年くらいじゃわからないことがあって、娘の離乳食から手ごねで焼いていたパンも、昨年やっと満足できるベストな配合が決まった。ケーキだって息子が赤ちゃんの頃から失敗を繰り返し、15年ほどしてやっと客人たちに認められるくらいにはなった。健康管理だって、食生活から改善し33年。運動や意識の鍛錬、住む場所や共生相手まで、どんどん変えてここまで来てる。

正解なんてない。個人の生まれ持った遺伝子、親が胎児の自分に流したもの、親が自分に与えた食事、自分が選択した食事や生活習慣、それぞれ違う。

 

今朝は朝ごはんだけで30品目摂れた。

シェリーも毎日焼き立てパンを一口食べる。市販のパンは高価なものでも食べてくれない。自生する野草やうちの野菜を食べて育つシェリーの味覚は参考になる。買ってきた苺は絶対に食べない(笑)当初食べていた市販野菜ももう食べなくなった。だけどチアシードヨーグルトは毎朝一番に食べる。まるで貴族のお嬢様だ(笑)コニーサン達もそうだった。ベランダのハーブや苺をよく食べていた。

昨日のランチはムール貝とシーフードでパスタ。

野菜はほぼ自家製。スイスチャード、玉ねぎ、、ピーマン、にんにくなど。今年は唐辛子も栽培しているので、一年分のチリを賄えたら嬉しい。バジルは去年の物がまだ少し残っていて、なんとか一年賄えた。

畑仕事はまだお試し期間のひよっこなので、今年は雑草の選別をして残すものと残さないものを判断している。(昨年は雑草を全部抜いていた)

シェリーの糞尿と炭や生ごみを混ぜた堆肥がとてもよい働きをしてくれているけれど、隣人たちの畑の野菜がお化けに見えるほど、うちのはどれも綺麗じゃないし小ぶりだ。玉ねぎやトマトのサイズを見るとフィジーやタンザニアのマーケットを思い出す。同時に両国ではあまり化成肥料は使われていなかったのかもしれないと考える。収穫できるものが小さいので、家族3人ですべて消費できる。スーパーに並ぶ大きな野菜にしてしまうと食べ切れない。

それでもやっぱり美味しいものを食べたいので、試行錯誤。シェリーの糞尿や生ごみだけじゃ堆肥が足りないから、本当は私たちの排泄物も使いたいのだけど場所的にそれは難しい(笑)山の上の一軒家なら考えるのだけどね。添加物や薬物を摂らないニンゲンの物でないと気持ち悪いし、シェリーだけじゃなく他の動物とも共生できればもっと循環させられるかもしれない。でもせっかくならシェリーが寂しくないような仲間になってくれる動物が良いし、なかなか簡単にはいかない。

循環の中で生きて死んで逝くことが歓喜。

できるだけ他生物に迷惑がかからないよう、必要な分だけ殺し、食べて、自分でできることはなるたけ自分でしようと思う。

一昨日今年初、羽黒蜻蛉と出会った。私の大好きな蜻蛉だ。彼らだって兄弟姉妹と群れになって眠り、嬉しそうに戯れる。

畑仕事の帰り、彼らが眠る川の傍を通り過ぎる。一匹、また一匹といなくなり、最期にたった独りで眠る姿に、命の尊さを想う晩夏。とても哀しいけど、だからこそ今は、歓喜に満ちた彼らと共に生命の誕生を喜びたいと思う。短い命もあれば永くこの世に存在する樹齢何千年という樹も在る。

大切な存在が死に逝くとき、なぜかそれを感じるあの寂しさは、後悔しない幸福な時間を与えてくれる天からのギフトなのかもしれない。自分の最期は、周囲のニンゲンではなく私自身が後悔しないために、シックスセンスがそれを教えてくれるのだと思う。

今日はコロンの誕生日。生きていたら4歳だ。

病気もせず、最期まで自立して生きたコロン。唯一、ここに一緒に来てくれたコロン。

心からおめでとう、そしてありがとう。

 

死んだ彼らの意識は、どうなったのかな。

二度とニンゲンなんかに見つかるな。

私も見つからないからさ。

 

 

 

 

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