随筆 170

そろそろ春の畑の準備をしないといけない。

レイズドベッドだけは雪が積もっても元気に育った。

20年以上育ててきた苺たちは、ずっと受け継いできた株で、もとは1株だった。

村の畑にまだ150株程植えたまま。

あの苺を何とかしたい。

畑仕事は一人でしているので、こっちをしながらあっちもはクロスバイクでは到底無理な距離で、もはや諦めつつある。

当初に言った通り、自分の土地でない場所をどんなに良い土にしてもシェリーやパディの堆肥が入っていても、エンジェルさんたちの堆肥が入っていてもいつかさよならするのが運命だ。

動物を人間が囲い込むことにずっと嫌悪感を覚えてきたけど、不本意にも娘にハムスター2匹を放りつけられ、最終11匹をみるはめになり、「閉じ込めてごめんよ」と言いながらも餌を買いにショップへ通ううちに、入荷したシェリーと出会い、処分品となって8か月も閉じ込められていたシェリーを連れ帰ってしまった。

その後また娘がロッピーとパディを買い、あまり面倒も見ず、同居人がエンジェルさんたちを買い、知人からルビーを預かり、今に至る。

途上国のように家に入ってきて居ついた動物を、何かしらお互いメリットがあって共生するようになる「ペット」ではない関係なら納得がいく。

死んでしまったけど、RUIさんがその候補だった。

動物を放りつけられ、結果的に彼らが私を親か仲間とみなしてなつき、会話できるようになって、はや10年。

もう10年も多種多様な動物と暮らしているのか・・・・・

基本閉じ込めた側の試練として、生涯糞尿のお世話が必要なのだけど、それでもそれ以上に彼らの魂との会話は素晴らしい。

人間のように嘘はつかないし、何よりみな賢い。

この島の「決まり事」のおかげで、一度囲った彼らを自由にしてあげることは反則になり、また道を金属の塊がものすごいスピードで走るゆえに外に出せば一瞬で轢き殺されてしまうので放せない。

鳶に食われるのは仕方ないけど、うちの子たちが人間に殺されるのは避けたい。

できる限り他生命の囲い込みに加担しないように生きてきたのに、一緒に生きたからこそ分かったことが山ほどある。

ただそれでもやはり、彼らには自由でいてほしい。

環境問題を宣うなら、アスファルトの道を土に変え、山を切り開くのをやめ、何より地球が人間のものであるかのような馬鹿な考えを捨て、欲ボケにならずに大家族で協力して自分たちのことはせめて自分たちで賄えるくらいに力をつけるべきではないかと考える。

まだそうしている途上国の民のように。

 

縄張り争いはどんな動物でもするけれど、体は一つ、殺して喰う量も限界がある。

さほど必要ないもののために紙切れを使っている私たち。

自分の生命維持に必要なものを他人に依存し、作らせている時間で仕事なるものをして暇になったから、欲も深くなるのだろう。

暇でない自給自足民にそんなこと考える余裕はない。

 

動物たちと生きる間、最低限の関与で対等に魂を尊重すれば、彼らは最後まで自立している。

いやもしかすると、虐待されていても死ぬまで彼らは自立心をなくさないのかもしれない。

そして人間と同じく、弱い個体と威風堂々としている個体、そして孤高を保つ個体が生まれ持っての性質だとわかる。

依存性の高い子は早くに逝く。

自立度と生命力は関与しているのだと感じる。

赤ん坊から育てる多頭飼いならそれらは歴然としている。

ただし、世界的に虐待と言われるような、胃に穴をあけて管を通して栄養を流し込むだけの「生きている」を長生きと仮定するなら話は通じない。

 

今朝、ある記事で、人間の囲い込みももう終わったと書いてあった。

僅かに残る隙間めがけて走って出る人は数えきれるくらいだろうとも。

塀の中の安全に「見える」場所が好きなのは生命力の低い依存性の高い生き物たちだ。

家を買ったのにやたらと電気ガス水道のないあの村に行きたいのは、そういう周波数を察知しているからなのかもしれない。

海に囲まれた島全体に大きな台風がやってくるとしたなら、まずは台風の目にいることだ。

もしも世界が台風に巻き込まれるとしたなら、脳の電気信号ですべてを捉えていると思い出せばよい。

見えるもの、聞こえる音、感じる気持ち、すべては脳の電気信号の変換。

真実は虚無リアルはファンタジー

ファンタジーを作り替えればよい。

それでも無理なら原子に戻りまた化合しなおすだけのことなんだろう

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