家を借りたと言っても敷地内に何棟もあるような造りで、庭は共用、隣の壁の向こうの声は、咳払いでも聞こえるほどでした。
ベッドが4つもあったので、二人用の棟に移動しました。左隣は、スウェーデン人とブラジル人の夫婦、男の子の3人で、長期滞在している家族でした。
右隣は中国人で、フィジーとニュージーランドに店を持っていて、半年ごとに両国を行き来していると話していました。
近くの小学校は多国籍です。フィジー人だけでなく、仕事で移住してきた家族の子どもたちも通っている様子。
外国人同士では、『お互いに仲良くやっていこう』というような雰囲気を感じます。だから、隣人たちとも気さくに話せました。
敷地内にはフィジー人も外国人も混じって住んでいるのですが、数人の庭師やメイドさんはオーナーが雇用していました。
テラスで私たちが話していると、庭師がココナツジュースを飲まないかと言ってくれました。
何度も飲んだことはあるのですが、ここのココナツジュースはとても美味しいものでした。雨量にも関係しているのかもしれません。
ココナツミルクはこの白い部分からとれるそうです。ココンダというフィジー料理は、ココナツミルクを使います。さっぱりしていて日本人の口にも合います。
ココンダ
ココナツミルクだけでなく、チリや、ライムで味付けがしてあって、日本で言えば、野菜や魚の入ったマリネみたいな感じです。
日本で材料も揃うので、ぜひチャレンジしてみたいメニューです。
通りがかった別の庭師と話していて、近くの村から通っているというので、以前から考えていたあるお願いをしてみました。
村のchurchに連れていってもらえないかと。
すると、日曜日にミサに参加できるよう手配してくれるというのです。
フィジーの部落は、その部落の者でないと住めないと聞いたことがあります。また、部落の誰かが困ったら皆で助けるという話も聞きました。
外国人は、なかなか村には入ることはできないでしょう。以前、私に自分のネックレスをくれたフィジー女性がいます。彼女たちに、私の考えはキリスト教徒にぴったりだと言われていました。無宗教なのですが、外国ではそれはあまり歓迎されません。また、先天的な歌のうまさから、賛美歌が素晴らしいと聞いたこともありました。ですからぜひchurchに参加してみたかったのです。
日曜日、村に私たちを案内するために、庭師の仕事が休みであるにもかかわらず、近くのPolice post まで迎えにきてくれました。けれども村までは案外距離があるようです。早朝だったので車が通っていません。
警察官の一人が自分の車で送っていくと言ってくれました。
が、日本とはちがいます。きちんとお金は払わなければならなかったのです。警察官にでも、仕事以外のこういう行為には支払うのが当たり前のようでした。庭師に躊躇は見られませんでした。私は三人分支払ったつもりでしたが、直後に庭師の彼も請求されました。私が頼んだのに、それを払ってくれと彼は言わないのです。もちろん私が支払いましたが、申し出なければ、彼は請求しなかったと思います。
村の入り口
教会の外観
教会の中の様子
着いたときはまだミサの開始前で、神父さんたちに私たちを紹介してくれました。
靴を脱いで椅子に座りました。記帳して、国籍や日にちも書きます。
ミサ自体には一時間以上を要したと思います。言語はフィジー語と英語両方でしたから、どちらも読み上げるのは大変そうでした。
ゴスペルは噂どおりでとても素晴らしいものでした。遺伝的なものなのでしょうか、皆、歌がうまいのですよね。
フィジーの知人が日本に移住してきたとき
「どうして日本の歌手は歌が下手なの?」
と子どもが彼女に訊ねたそうです(笑)
ミサの最後には寄付金を集めます。村人たちも少しずつ、必ず寄付をするのですね。私たちも寄付をしました。
そして前に出て、順に並び、きついアルコールみたいなものを一口と、お菓子のようなものを口にいれられました。
ところがこれが案外美味しくて驚きました。
その後、教会を出て庭師に御礼をいうと、彼がなんだか言いたそうです。
彼は奥さんと二人暮らしの60代で、オーナーのところでもう30年働いているらしいのです。
月給は30000円ほどと聞いていました。
その彼が、いきなり私に謝ったのです。
「本来なら家に寄ってもらって、紅茶やケーキを食べていってもらいたいのだけど、余裕がなくて今日は寄ってもらえないんだ。」
と申し訳なさそうに言うのです。
「そんなことは期待していなかったわ。気にしないで。連れてきてくれて本当にありがとう。」
と伝え、村から道路際まで私たちは歩き始めました。それでもまだ彼は、
「送っていけなくてごめん」
と何度も私に謝るのです。
素直に気持ちを伝えれば、言語が完璧でなくても互いに信頼し合えるのですね。
このような暖かい気持ちになれる人と、他国で遭遇することが多く感激します。
何処にいても人はそんなに変わらない、良くも悪くもかわらないと思うのです。
Secove、元気かな。
Part 6に続く
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