※これは事実に基づいたフィクションかもしれません。
当時交際してる相手の家にいる時、メッセージを受信した。
見ると、彼からだった。
偶然、同い年。
どちらも22歳下だ。
数日前、彼と二人で京都の店にいた。
私と話すのは誰よりも楽しいと彼は言った。
そして彼曰く、私は誰よりも傾聴するタイプだそうだ。
だからラリーのように話が尽きないと。
それは貴方だからよ(笑)
その2年前……
私が息子の介護についている間に、彼は大学に入学した。
毎日一緒にいたのに、もう会えなくなっていた。
彼女がいることも風の便りで聞いた。
そして2年後、離婚報告の電話をした。
すると、すぐに逢おうという話になった。
彼はその場でスケジュールを確認したようで、私は彼の提示する日程に合わせ、待ち合わせ場所を決めた。
2年も会わなかったのに、彼は何も変わっていなかった。
満面の笑み、人目も気にせず大きく手を振る姿。
「私の事が必要なくなればそう言って」
「わかった」
彼と過ごした当時にした約束。
逢わなくなった2年の間、何度か電話で訊ねたこともある。
「あの約束覚えてるよね?」
「覚えてるよ」
そう…‥未だに彼は何も言ってこない。
だからまだ私を必要なのだと思った。
久しぶりに夕食を共にした。
店を出たら彼はアルバイトの時間だ。
絶対に遅刻したりする性格じゃないのに、何度も時計を見てギリギリまで話をしていた。
「早く行かないと遅れるよ」
手を振って彼の後ろ姿を見送った。
その後しばらく連絡もせず、私は仕事に邁進した。
必要なら此処に在って必要なければ淘汰される
なんでも同じ。
彼以上に好きな人などいないけど、もし次の相手が現れるなら公私ともに一緒に生きられる人……というイメージをしていた。
後悔したくないので、彼に言った。
「あなたの遺伝子が欲しい」
そこで初めて彼は
「彼女がいる」
と答えた。
なのに彼は度々私と逢った。
食事をして別れるだけの間柄。
昔と同じ。
空気の対流はあるのに、互いに何も言わない。
ある日、彼に伝えた。
「次に現れる人と結婚することになると思う。そういう予感がある。」
その時、彼が珍しく厳しい口調になった。
「だったら、俺はもう一生結婚もしない。子供も作らない!」
どうして?
遺伝子が欲しいって言ったら断ったのに、どうして私が別の人と結婚するとそうなるの?
……とは言えなかった。
それから私たちは以前にもまして、やりとりするようになり互いに理解を深めていった。
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