事実は小説より奇なり 5

※これは事実に基づいたフィクションかもしれません。

 

当時交際してる相手の家にいる時、メッセージを受信した。

見ると、彼からだった。

偶然、同い年。

どちらも22歳下だ。

 

数日前、彼と二人で京都の店にいた。

私と話すのは誰よりも楽しいと彼は言った。

そして彼曰く、私は誰よりも傾聴するタイプだそうだ。

だからラリーのように話が尽きないと。

 

それは貴方だからよ(笑)

 

その2年前……

私が息子の介護についている間に、彼は大学に入学した。

毎日一緒にいたのに、もう会えなくなっていた。

彼女がいることも風の便りで聞いた。

 

そして2年後、離婚報告の電話をした。

すると、すぐに逢おうという話になった。

彼はその場でスケジュールを確認したようで、私は彼の提示する日程に合わせ、待ち合わせ場所を決めた。

 

 

2年も会わなかったのに、彼は何も変わっていなかった。

満面の笑み、人目も気にせず大きく手を振る姿。

 

「私の事が必要なくなればそう言って」

「わかった」

彼と過ごした当時にした約束。

 

逢わなくなった2年の間、何度か電話で訊ねたこともある。

「あの約束覚えてるよね?」

「覚えてるよ」

 

そう…‥未だに彼は何も言ってこない。

だからまだ私を必要なのだと思った。

久しぶりに夕食を共にした。

 

店を出たら彼はアルバイトの時間だ。

絶対に遅刻したりする性格じゃないのに、何度も時計を見てギリギリまで話をしていた。

「早く行かないと遅れるよ」

手を振って彼の後ろ姿を見送った。

 

その後しばらく連絡もせず、私は仕事に邁進した。

必要なら此処に在って必要なければ淘汰される

なんでも同じ。

 

彼以上に好きな人などいないけど、もし次の相手が現れるなら公私ともに一緒に生きられる人……というイメージをしていた。

 

後悔したくないので、彼に言った。

「あなたの遺伝子が欲しい」

そこで初めて彼は

「彼女がいる」

と答えた。

 

なのに彼は度々私と逢った。

食事をして別れるだけの間柄。

昔と同じ。

空気の対流はあるのに、互いに何も言わない。

 

ある日、彼に伝えた。

「次に現れる人と結婚することになると思う。そういう予感がある。」

その時、彼が珍しく厳しい口調になった。

「だったら、俺はもう一生結婚もしない。子供も作らない!」

 

どうして?

遺伝子が欲しいって言ったら断ったのに、どうして私が別の人と結婚するとそうなるの?

……とは言えなかった。

 

それから私たちは以前にもまして、やりとりするようになり互いに理解を深めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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