随筆 3

哀しみが積み重なって、それをきちんと自分で受けとめて生きていると、いつの間にか、心の中に圧縮されたメタルスライムが出来上がる。

自分の心のバランスが崩れることを逃れるために、目の前の、それも決して自分に報復しないとわかっている人に、責任転嫁をする人がいるけれど、彼らは相手の気持ちを考えることはないようだ。

この人は、いま、生きていて幸せなんだろうか……

この国を見ていると、嬉しいことよりも悲しいことの方が圧倒的に多い。

同じようなものを食べて、同じような教育を受けて、同じようなシステムの中で生きているのに、これだけ想いが違ってくると、きっと人生も全く異質なものになってしまうのだろう。

人の想いは不思議だ。言葉にしなくても、表情に出さなくても、それは良くも悪くも相手に伝わっている。

愛を持てばいい。怖がらずに信じればいい。騙されてきた歴史と、騙してきた歴史がきっと人々をそうさせているのだろうけれど、生まれくる子どもたちがキラキラした瞳の大人を知らないのは悲しい。

自分の今は、自分が選択してきた過去の結果である。自分が気づけば、未来が変わる。

もしもやりたくないことがあるなら、はじめからそう意思表示をして、他者に迷惑をかけることを最小限にすることができる。また、何かをする過程で方向転換したならそれも、すぐさま関係者に撤回すればよい。

そもそも誰かに見られているとか、強制されていると思いこんでいる人は、本人が動物として自由であることを忘れているからで、誰一人として誰かの人生を強制できるはずもないことを思い出せばいい。

好きに生きて、この地球がその存在を不必要だと判断すれば、自然淘汰されるだろう。

なぜ、人々はもっと自由に生きないのか。

ふと入ったカフェの隣席で、小さな女の子に参考書の説明をしている母親がいる。

彼女はいったい誰と競争しているのだろう。我が子に何を教えたいのだろう。20年後も今と同じ世界がここに存在すると思っているのだろうか。

それでも彼女なりに、それが精一杯の生き様なのかもしれない。

取り残されることが怖くて、我が子にも同じことをして、そして女の子もまた、取り残されることが怖くなるのかもしれない。

時は流れ、どんどん世界は変化しているのに、変化しないものがある。

悲しいことは、喜びに変化させるほうがいい。

それでも私も、心の中のメタルスライムをどうしようもすることができずに、いつか融けて失くなるようなマグマを心待ちにしながら空を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

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