随筆 34

おかしい。

なんだかおかしい。

騙されたことをあちこちに発信したがる人の心理って不思議だ。

手枷足枷つけられて、鎖で引っ張っていかれたわけじゃない。

自分の頭で決めて、そのときはそれが最善だと思って選択したことだと思う。

相手が悪いというより、強いて言うなら自分の判断が間違っていた。

そこから本当に失敗を反省して、安易な自分の思考を転換して、賢くなるしかない。

人々はシステムに洗脳されきっていて、ここからは詐欺でここからは大企業、みたいな面白い選別をしているけれど、キーとなるのは「お話づくり」の上手さである。

お話づくりが下手なら、道半ばとなり、結果的にそれは詐欺に終わる。継続させることができれば大企業となるものもある。すべて同じだ。だってこの世の中に正解なんてないんだから。

片方でそれを肯定しているなら、もう片方を誰が責めることが出来るのだろう?

大人なら自分で自分の人生の責任をとりたい。選択は自由なのだし。

自分の失敗やつらさを相手のせいにしたいのはわからなくもないけど、それは多分、その時点での自分はその程度の人間だったということだから、やるべきは相手を責めることではなくて、自分の人格を高めることなのではないか。

また、なんでもかんでも騙されたと平気で口にできる人は、自分が何らかの形で他者を騙している人なのだろう。人間が人間を騙すものだという世界観をお持ちなのだ。逆に正直な人は、人間は本当のことを話すものだという世界観が基準になるので、嘘はイレギュラーなことで、本音が平常だと捉えている。

過去の失敗を責めるエネルギーよりも、未来をよりよくするエネルギーにその熱を使いたい。

悲劇的な未来の予想図よりも、幸福な未来の予想図を描くことに、殺した生命から得たエネルギーを使いたい。

誰かが自分の判断力の甘さをそういう形で広めている時に、そこに乗っかる人々がいるけれど、自分の過去の失敗を投影したところで、負の記憶が強化されていくだけで、幸福にはならないだろう。

私もとりもなおさず、

あー、あの頃自分はバカだった。

なんで、あんな判断したかなあ。

人に迷惑をかけたなあ……

と顧みることがある。二度とその失敗をしないように一つでも幸福な選択に転換していきたいと日々努めてはいるが、この歳になっても、まだ新しい発見は続いている。

人間って、やっぱり生物のなかで一番バカなんだろうなと、ハムスターたちを見ていて思う毎日である。

 

 

 

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