随筆 1

ジリジリと照りつける真夏の太陽の下でも、人々は風を心待ちにしている。

まだ夏の盛りだというのに黄昏時は、別れを感じさせる。

昔から、夏の終わりは一年の中で一番寂しくて切ない。こんな陽射しと風は、誰かとよりも、独りで感じていたい。

私は風が好きだ。

風があるから、地球に生きているとか、自然と共生していることがわかる。

いつか必ず、すべての人や存在と別れが来る。今日その日が来るか、明日来るかなんて、誰にもわかりはしない。赤子だって老人だって、その事にかわりはない。

そんなことを考えながら風に吹かれていると、何もかもが無性に愛しくなる。今、私と共に生きているすべての存在が美しく見えてくる。

必ず来る別れの日まで悔いなきように生きるために、私達は今ここに在るのだと思う。

そんな奇跡的な命の時間を、計算や競争、妬みややっかみ、争いなどに使うことは、なんて無意味ことなんだろう。多分、そんなどうでもよいことに命を使うのは、地球上の生物でニンゲンだけなんじゃないだろうか。

哀れで切ない、そのような動物に生まれてしまった自分を悔やみながらも、その哀れなニンゲンとして、今生は命を燃やしきって終わりたい。

皆それぞれに何かに一生懸命で、何かを信じて生きている。それがなんであろうと、やはり全てが愛しき存在なのだろうと思える。

 

過去に出会った全ての存在にありがとうと伝えたい。

 

 

 

 

 

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