ふと入った郵便局。手続きを待っている間、椅子に座って目にとまったのは
星野道夫の「星のような物語」
用は済んだのに、座り込んで一冊読んでしまった。他にも星野道夫の本が何冊もあって、きっと局長さんが彼のファンなのだと思った。
何度も彼の本は読んでいるし、写真展にも行くのだけれど【いま】の自分の気持ちと、その時どきによって深くつながる彼の言葉や写真がある。
写真家になるためにアラスカに渡ったのではなく、アラスカを愛して写真家になったという彼。
一人でアラスカを巡りながら、大自然の圧倒的な魅力から離れることが出来なくなったのだろうか。わからなくもない。
彼の視座はとても広くて、この狭きアスファルトの上の国で生きていることを不自然だと気づかせてくれる。
実際に私は南太平洋の島にも行っているし、サバンナも見ているし、マサイ族が本当に牛をたくさん引き連れて、いつまでも歩いている姿も見た。
キリマンジャロの雨水を飲んで、電気もガスも水道もない村で食事をいただいて、野生の象もカバも、桜吹雪のようにどこからともなく、一日中飛んでくる蝶も見ている。
いったい、私達はなんのために、アスファルトの上で熱中症対策をしているのだろう。
出来ることならこの世界から「イチ抜けた!」と叫んで消えたいと思いながら、愛してやまない存在を、まだ放り出せずにいる。
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