夏休み。
そしてお盆。
不自然な動きにも見える直角に曲がってやってくる台風も幾つめでしょうか……
でもそんなことは関係なく、会いたい人のもとへはるばるやってくる人々との出会いに煌く夏の日。
この村に移住してお付き合いのある人も多くなってきました。
うちのリンジーやボサノバが朝早くから鳴くにも関わらず、どなたも苦情を言ってくることはありません。
有難い限りです。
驚くことに、ご家族で作った草餅や、かつてご自身のお店で提供していた自慢の野菜ソース、僅かしかない穫れたての有機野菜など、まるで父や母のように入れ代わり立ち代わり、我が家に持ってきてくれるのです。
たいした返礼も出来ないけれど、お料理を持ってきてくれる方には手作り料理を、野菜を持ってきてくれる方にはその方が栽培していない野菜やハーブを、お土産を下さる方にはお土産をと、ささやかながらこちらも気持ちを表して愛の循環は留まることを知りません。
そのような折、思いがけずアメリカのママからプレゼントを頂きました。
帰国する直前に来られて、手編みの帽子を私と同居人用に持ってきたのだと……
彼女の趣味は帽子を編むことで、前回日本に来られた際にスマホに保存してある沢山の作品を見せてもらっていたのです。
私がお付き合いのあるのは彼女の息子さん夫婦で、どうして彼が毎日ニット帽をかぶっているのか、その時納得したわけです。
お付き合いと言っても、三流の英語力で困った時のアドバイスをしたり、村の行事のお報せをしたり、娘が不要になった小さい頃の玩具を彼らのBABYSに持って行ったりする仲です。
3日もかけてso farなこの村に来たと話されていたアメリカのママ。私たちの事は息子から訊いてるのよっておっしゃっていました。
まさか、私たちに手作りの品をプレゼントしてくれるなんて。
「次はクリスマスに来るので、その時も何か持ってくるわね」
と言うのです。感激ですよ。
もう帰国する彼女に何も手渡せるものもなく、急いで作品棚からパッチワークキルトのバッグを出してきて渡しました。
なんたって私が大好きなパッチワークキルトの本場はアメリカですから(笑)
クリスマスに逢う時の為に、今度はとっておきの手作り品を用意しておかなくてはいけません(笑)
空白の法則—とよく言いますが、空いた席にはまた誰かが座ります。
初めて途上国に滞在した時、毎日出会う人、サヨナラする人と目まぐるしく変わる日々を過ごしたあの経験は今も貴重なものです。
海岸で一緒に沈む夕陽を眺めながら、翌日にはSee you againと言って笑って手を振る……
言葉もさほど通じないのに、夜に一緒にKavaを回し飲みし、笑って手をたたいて、数日後にはそれぞれの国へ帰っていく……
ああ、人って一期一会で本当に幸せに生きていけるんだって思いました。
皆独りで来ていましたが、国境を越えて言葉を越えて、確かにその瞬間共に生きている感覚がありました。
二度と逢うことはないと知っているけど、サヨナラは笑顔で
「また逢おう」
個人に対する執着は時に闇の先に自己を陥れます。
もちろん家族や地域や特定の人を生涯大切にすることは素晴らしい事ですが、永遠の約束は出来ないというのが生命、生物というものなのではないかと思うのです。
せっかく生を受けたのなら、たくさんの生命と出会い、共に生き、歓喜し、出来る限り哀しみを笑顔に変えて、強く生き抜きたいものです。
私は何度も引越しし、他国とも縁があり、逢いたい人は海の向こうにたくさんいますが、様々な事情で疎遠になったとしても、それを自然の流れと受けとめ、今日の出会いを大切にしていきたいと思います。
扉は常に開け放し、入りたい人は入り出て行きたい人は出て行く、追いかけることはしないのがスタンスです。
ただ静かに座し、引き寄せ合う心の澄んだ生命体と共生していきたいと思っています。
少しずつですが、自分の世界が整ってきています。
いつか消え逝く生命ですから、最期は限りなく美しく澄んだ魂で昇天していきましょう。
今日も皆さんありがとう。
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