もしも一匹しか一緒にいなければ
もしも雌雄のココトゥンとコニーサンしかいなければ
きっとわからなかったことがあります。
ジャンガリアンの彼らとその子どもたち
ロボロフスキーのローリーと
一緒に生きたからわかったことがあります。
彼らには大きな知を授けてもらい感謝しています。
同じハムスターでも性格がちがう
●コニーサン
父親のコニーサンはペットショップが劣悪で、うちにやって来た当初二ヶ月ほどなれるのに時間がかかり噛みついたりしていましたが、その後は噛みついたことも一度もない優しい子です。
赤ちゃん時から綺麗好きでゴミは一カ所にかためておいてあるし、私がケージに手を突っ込んで掃除をしていると、口にくわえて種の殻や糞を運んできて置いたりもします。
部屋に放して遊ぶときは好きな場所というのがあり、そこを陣取って動きたがりません。
ケージに帰りたくなると私の掌や膝の上によじのぼってきて、私をじっと見つめたり、掌の上に乗って待ったり、私の脚をチョンチョンと手でたたきます。
鶏のささみ、豆腐、ヨーグルト、ゆで卵など雄は全般的に蛋白質が好きです。ベランダで育てたハーブの花も食べます。
虫も食べます。
コニーサンは一番年上なので、三階建てのケージで運動不足を予防しています。
子どものモチに襲われたときあちこちえぐれて血だらけで瀕死の状態でしたが、一晩中じっと耐えて、いまや傷痕ものこっていません。我が子のモチにはほとんど抵抗せずに、自分だけ大ケガを負いました。
ココが亡くなったときはずっと身体をなめていました。噛みついたりしませんでした。
●グレイ
ココのはじめの出産でうまれた8匹のうち6匹は里親さんが引き取ってくれて、雌雄2匹が我が家にのこりました。そのうちの雌です。
ちょっと太め、8匹の中で1匹だけサファイアブルーの色でうまれました。
先月一歳をむかえましたが、最近はあまり動かなくなりました。
独立したころ(一人でケージを持ったころ)なかなかなつかなくて、掃除のときも逃げてばかりでした。
半年くらいから掌に乗るようになり、今はケージのドアが開いてても自分では出ず、掌に乗せてもらおうと待っています。
喉を撫でると顔をあげてじっとする子です。
小さい頃は散らかしていたけれど今は綺麗好きになって餌の殻は一カ所においてあります。
後からうまれた5匹のうちの弟、モチのことが大好きでモチの匂いが近くでするとすぐに寝床から飛び出してきます。
誰よりも動じない強さがあり、大人しい子で噛みついたりもしません。
●モチ
ココが二回目の出産で産んだ5匹のうちの雄。
ココのケージを譲り受けたので、子どもたちの中でモチだけが広い二階建てケージに住んでいます。
ここから出してくれというアプローチが一番ひどいのが彼。自由を求める意思力が断トツです。
でも最近は歳をとったのかずいぶん大人しくなりました。
コニーサンをなめてかかっていて、赤ちゃんの頃からコニーサンにだけはケージ越しに攻撃していました。
でもリンが苦手で、リンが近づくと立ち尽くしてじっとします。
一時期段ボールに住まわせていたのですが、朝になると行方不明。箱を噛みちぎって穴をあけてこたつ布団の中で見つけるという毎日でした。
一番の冒険家で、めったなことで諦めません。うるさいけどかわいいやつです(笑)
●リン
リンもあとから産まれた5匹のうちの雄。でも、リンは他の子に比べて何かが違っていたのです。
鳴きかたも変だし暴れ方もひどくて、娘と私はこの子は障害があるのかもしれないと感じていました。
だけど寝ること、食べること、遊ぶことなどは問題なく、一生懸命に生きているのがわかりました。母親のココも栄養をとられて逝ってしまったため、リンも栄養がたりずに生まれたのではないかと思い、いろんなものを与えてきました。
他の子たちが全員食べるものもリンだけは食べなかったりして、好き嫌いがはっきりしています。
朝ケージの外に出すと、部屋の隅に必ず頬袋にためた餌を全部吐き出していきます。
他の子の匂いのついた物が部屋に転がっていると、即座にそれと格闘し始めます。
実は障害ではなく、一番野生的なのだと気づきました。
甘える頻度が極端に少なく自立しています。
俊敏さに長けていてよく走りますが、失敗すると恥ずかしそうにする一番シャイな子です。
●ウータン
後から生まれた5匹の中の雄。小さくて弱くて、赤ちゃんの頃サファイアとリンにやられて遊ぶこともできなくなったので、一番初めに個別ケージに独立させた子です。
毛並みが綺麗でお腹の毛が真っ白でした。大人しいので途中までもしかしたら雌なのか?って疑っていたくらい。睾丸が発達してきたころに雄だとわかりました。
むちゃを言わない、賢く忍耐強い子です。
砂場で餌を食べていつも砂場の中に殻を全部落とすのが特徴です。
「ウータン」と呼ぶとすぐに起きて出てきます。
麻の実が大好きで、他の子のように頬袋にはためずにすぐに食べ始めます。
●サファイア
後から産まれた雄、赤ちゃんの頃から一番肥っていてたくさん食べます。
ほぼ毎日、餌の食べ残しがありません。
家の中を無茶苦茶にする面白い子です。
イライラすると餌箱の下に潜り込んで箱をひっくり返したりします。
そのせいかぐっすり眠るタイプ。
娘が一番可愛がっている子で、朝起きるとこんな風になっていることもあり、どうやって外したのかいまだにわかりません。
●ミルキー
後から生まれた中の紅一点。身体は一番小さい子。
一度も噛みついたことがありません。
巣作りがうまいのは母親のココとそっくり。広げると一枚の円状の絨毯みたいで、敷いている新聞をトルネード状に細かく裂いて巣材に巻き込んでいきます。
新聞を割くのは楽しみの一つで、汚く見えるかもしれませんが、餌の殻や糞はケージの隅にかためておいてあります。巣材にはほとんどゴミがついていません。
毛並みが独りだけ短くてサラサラ。耳も小さいです。
ベイビーズの中では一番私になついていて、冬は私の太ももの横にペタっとくっついて寝ていました。
大きくなった現在は掌の上でじっとしていて、突如猛スピードで走り始め高いところによじのぼる活発な子です。
回し車の中で眠るのが特徴。
リンのことが大好きです。
彼らから教えてもらったこと
イエス・キリストの言葉に「空を舞う鳥を見よ」ってのがありますよね。
空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。
カレルチャペックは「鉢の中に宇宙がある」と言いましたよね。
彼らをみていると、人間の都合でケージに閉じ込められていることも、自分で餌をさがしに行けないことも、自由に交尾が出来ないことも、全部受け容れて、ただ懸命に生きているのだとわかります。
ローリーはひどい扱いをショップで受けていたけれど、私の呼びかけに応じるようになって喜んだのもつかの間、独り静かに寝床の中で逝ってしまいました。
チビタンは私の不注意である日突然命を失いました。
ココは半身麻痺でも最期の瞬間まで自分で動こうとしていたし、甘えずに生きていました。
身体における脳の割合が知的さを表すのであれば、私たち人間よりも彼らの方が賢いはずなのです。
彼らは懸命に毎日を生きています。仲間がいることもそれぞれ知っていて、異なる動物である私との意思疎通をはかろうとしています。
ここに異種の差別はありません。
母親が逝ってしまっても、彼らは生きている限り何も諦めたりしません。
毎日のメンテナンス(毛づくろいや雄はマスターベーション)は暑くても寒くても必ずします。
巣作りも巣材を与えると自分でそれぞれしています。なければ部屋に出た時に巣材になるようなものを持ち帰ります。
誰に教えてもらわなくても。
ココもローリーも亡くなるまで自分で動いていました。
命をきちんと全うしていると感じました。
そこには尊敬の念しかありませんでした。
私たち人間は贅沢を言って欲にまみれて、ありもしないネガティブな未来を創り上げ不安にさいなまれています。
いったい私たちは何をしてるんでしょうか。
誰にでも死は必ず訪れます。
こうしてたくさんの命を食べたり、殺戮して遊んだり買ったり棄てたりして人間は生きています。
それなのに自分の命を誰かに預けたり(自分で選択せずに)命あることに感謝しないですぐに諦めたり、本当にバカな生物だと思うのです。
長くても彼らは3年しか生きません。
確かに今彼らと一緒に生きていることは私の人生の中で煌めく幸福な瞬間です。
植物にもそうですが、人間以外の生命と真摯に生きることでは、教科書よりもずっと大切なことを教えてもらえるのです。
もしもご自宅に植物や動物がいるなら、彼らの生きざまを対等に見てみてください。
幸せな気分で万物の恵みに感謝して、一日を終えたいと思います。
今日も皆さんありがとう。
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