私にとって、最も学びがあったのは一緒に生きたニンゲンではなく、動物たちでした。
幼少期からペットという言葉には嫌悪感を覚え、動物園は虐待に見え、水族館のショーやサーカスなど悪魔の所業としか思わない私が、仕方なしに娘が放置したハムスター2匹の世話をし始めたことからそれは始まりました。
齧歯類だったこともあるでしょう。
彼らの賢さは想像を超え、事典など全くあてになりませんでした。
ペレットなる不自然なものを食べさせるのがいやで、マンションのベランダで育てるハーブや彼らのための野菜など自然のものを組み合わせて給餌しました。
彼らの子供が生まれたことで総勢11匹と過ごす毎日になりましたが、全員性格が違っていることや、教えなくても生まれた頃から衛生管理もヒマワリの剥き方も知っていることに驚きました。
野生下でなくても習性からくる運動の方法や、必要以上に食べない事も。
つまりダイエットなども無縁なのです。
当然です。
地球が産み出したものに、まさか『生き方』がわからないような生物が存在するわけがありません。
そして、親子でも雄同士は殺し合いに発展します。
どちらも可愛いのに会わせると殺し合い……
許すしかないことを学びます。
彼らに嘘はなく、ただ毎日同じことを繰り返します。
自分のメンテナンスをきちんとして、死ぬ間際まで人間に依存もせず、強く崇高に生きています。
全身ガンになっても(多分ニンゲンのせい)自分で噛みちぎり、痛さを紛らわすために走り回り、私に噛みつくこともなく最期まで自分を生き抜きます。
そう、自分のために精一杯生きて死ぬのです。
だけど、愛は確かにありました。
逝く間際になると、皆同じようにそれをわかっているようで、ケージに帰らずに私にべったりくっついて離れませんでした。
永い子で12時間、水も飲めず何も食べれず、昏睡状態になるのは決まって掌の上。
付き合いの深い仔は私を待っているのが見てすぐにわかるのです。
「待ってたんだね」
と膝の上に抱くと、1時間ほどで逝ってしまいました。
2018年は同時に生まれた仔たちのお別れラッシュで、その都度彼らを見送るのは本当にキツイものでした。
彼らの中にも愛はあって、誰が見ても互いに好き合っている二匹は、ケージを隣に並べて触れ合えるようにしていました。
人間の都合でこれ以上増やすことはできないと一度も交尾をさせてあげなかったことは今も悔やんでいます。
先に雌の方が逝き、お別れの体面をさせてあげたのですが(彼らは皆家族だったのでお別れの際は全員に対面させました)その日から仲のよかった雄の方が巣から出てこず、何をあげても全く食べない日が続きました。
動物行動学の書籍で、種を越えて愛し合う動物や仲間の死を全員で弔う牛の話を読んだことがあったのですが、実際にそれを目にするとこちらも涙が止まらなくなります。
多頭飼いでしかわからないことがあります。
一括りにまとめられる生物などいないのでしょう。
一番長生きしたハムスターは半年間、劣悪な環境で閉じ込められていた仔でした。『処分品』を買ってきた娘が私に頼むと言って連れてきた仔です。
最期の一匹になったこの仔は、当初は消毒薬の匂いもなかなかとれず、虫かごの中で衛生管理をできる環境になかったため、トイレを覚えるのも時間がかかりました。
でも、あの箱の中で半年諦めずに頑張った精神力は誰よりも強く、(SHOPに巣材や砂の買い物に行くと、いつも出して出してと跳んでいました)完全自立型の性格で、与えられたケージを自分の城のように満足しているのがわかりました。
誰が逝っても悲しむこともなく、雄の誘いにも動じず。
まるで人間の強い女性のようで手のひらに乗るような小さな仔なのに、いつも存在が大きく感じられました。
そんな彼女も逝く前の10日間は、夜中に私と一緒に寝たがり、トイレの時だけ私を起こすとすぐにまた布団に入ってくるという毎日。
ですが、一度も布団でおもらしをしたこともありません。
彼女が逝ったその後、唯一私が買った『処分品』のシェリーや、娘が買った『処分品』のロッピーやパディは種が異なりますがやはり性格はわかります。
同居人が飼ったアンディやリンジーたちは、初めて共生する種ですが、仲間同士の多頭飼いなので個体差と習性が明確です。
でも赤ん坊から大人になるまで育てたのは私です。
3体は大人になるまでに脚が立たなくなり、病院は何もできませんでした。(レントゲンとるだけ)
諦めずに色々ケアして、日向ぼっこも毎日させ、2体はまったく後遺症もありません。
1体は少し足の指が曲がっていますが、それ以外に問題はありません。
1体は首がグラグラになりましたが(雄同士の喧嘩)なんとか治し、現在はとても賢い仔になりました。
1体だけ脚をくじいたまま動かせなくなった雌がいますが、病院では放置しても5日で治ると言われました。
なぜ医者を信じてしまったのか。
他の仔のように私がケアするべきでした。
栄養価の高いものは食べさせましたが、1年経った今も治っていません。
ですが、リハビリもして少しずつ動くようになってきています。
雄から一番モテて、雌からやっかみでいじめられる仔で、餌を充分食べられずに栄養不足だったのかもしれません。
だから、生命力が一番高いのでしょう。
小さい頃から孤高を保つタイプでした。
天使のようだからエンジェルと名付けた仔です。
現在は個別に栄養価の高いものを与えてそのようなことが起きないようにしています。
シェリーとパディは既に逝ってしまいましたが、田舎移住したこともあり、たくさんの野草やうちの野菜を食べさせてあげることが出来ました。
シェリーは散歩の前には必ず自分でトイレを済ませ、お散歩用の箱に入りました。
散歩中にトイレに行きたくなると合図をするので、走って家に帰らなくてはなりませんでした。
山を眺めるのが好きでした。
虫の声もじっと聴いていました。
私が両親の介護で家を留守にすると、とても綺麗好きなシェリーが、わざとトイレの横におしっこうんちをして怒りを表現しました。(笑)
ニンゲンの都合で、多くの時間をケージの中に閉じ込めていたことは本当に申し訳なく思っています。
いま、アンディ達の個体差は、あの当時のコニーサン達ハムスターズを想起させます。
彼らよりもずっと大きく、うるさく(笑)よく喋りますが。
離乳食から発酵食まで食べるものを育てるのも大変です。
1時間に1度の掃除で、家事の時間もままなりません。
でも就寝時間は毎日決まっていて、その後が天国です(笑)
ハムスターズの頃よりスキルアップしたからか、彼らの訴えが良く分かります。
「今日はツンツンに意地悪されて辛かったんだ」
「もっと食べたい!!」
「背中撫でて」
「ちょっと相手して」
「脚が汚れた!!」
「水が飲みたい!!」
などなど。
交替で出してあげるので、誰かだけ相手をすることは難しいのですが、ほんの少しの時間を繋ぎながら愛を育んでいます。
「リンジーさん、ピティさんと交代してあげてくれる?ごめんな」
というと、小さな声で文句を言いながらも自分の部屋に帰ってくれます。
「シャイニーさん、まだ掃除終わってないからボサノバさんのところにいてくれる?」
というとくるりと背中を向けてボサノバのところに向かいます。
エンジェルは脚を悪くして皆に虐められるので、私が行ったときにだけ前に出てきて食べまくります。
(意地悪する雌達に普通に叱るので、守ってくれることをよく知っているのです。)
アンディは、生まれた時から賢くて甘えん坊で、抱っこすると腕に顔をうずめて長い時間愚痴を言います(笑)
「そうかそうか、つらかったね」
って聞いてあげるのです。
まさに女子ですね。
結局、言葉より行動。
言葉より魂。
言葉より愛です。
ニンゲンの言葉は大半虚構に使われていて聞くに堪えません。
言葉を使うなら美しく波動の高いものにしましょう。
それを愛している人に伝えましょう。
冗談を言って笑いましょう。
もし愛していると言えないなら、想念だけでわかります。
愛し合う二人には互いに伝わるものがあります。
愛しあうよりも素晴らしい事なんてこの世にはない気がします。
それは種を越えて可能です。
バラともきっと可能です。
そして輪廻転生が本当にあるなら、リンジーたちはコニーサン達ハムスターズの生まれかわりかもしれないのです。
(まだ私にもわかりません)
だから誰にも彼らの命をコントロールする権利はありません。
ごめんなさい。
ありがとう。
愛しています。
万物に愛を。
今日も皆さんありがとう。
0 comments